歯磨きの最中や、硬いものを食べた時に「歯茎から血が出た」という経験はありませんか？もし痛みがないからといって放置しているのであれば、それは非常に危険です。歯茎からの出血は、歯を失う原因の第1位である「歯周病」が忍び寄っているサインだからです。
特に30代からは、ホルモンバランスの変化や生活習慣の蓄積により、歯周病のリスクが急激に高まります。
この記事では、四日市市のさかもと歯科医院が、ご自宅ですぐにできる「歯周病セルフチェック」と、進行を食い止めるための正しい予防法について解説します。
結論から申し上げますと、歯周病は「沈黙の病（サイレントキラー）」と呼ばれ、自覚症状が出にくいのが特徴です。出血などの小さな異変に気づいた時点で、歯科医院での専門的なケアと正しいホームケアを開始することが、将来ご自身の歯を守るための唯一の近道です。
30代から急増する歯周病のサインとセルフチェックリスト
30代に入ると仕事や家庭での責任が増し、ストレスや生活リズムの乱れからお口の環境が悪化しやすくなります。厚生労働省の調査（歯科疾患実態調査）などでも、成人の約8割が歯周病の予備軍または罹患者であると言われています。
「自分はまだ若いから大丈夫」と過信せず、まずは現在のお口の状態を確認してみましょう。以下の症状に一つでも当てはまる場合は、歯周病が始まっている可能性があります。
歯磨きの時に出血する・歯茎が赤く腫れている
最も分かりやすいサインが「出血」と「腫れ」です。
健康な歯茎は引き締まった薄いピンク色をしていますが、歯周病菌（プラーク）によって炎症が起きると、歯茎は赤黒く腫れあがります。
| 健康な歯茎 | 薄いピンク色、引き締まっている、出血しない。 |
|---|---|
| 歯肉炎・歯周病 | 赤っぽい、または赤紫色、丸く腫れぼったい、歯磨きで出血する。 |
「強く磨きすぎたかな？」と思うこともあるかもしれませんが、健康な歯茎であれば通常のブラッシングで出血することはまずありません。出血は、体が細菌と戦っている「炎症」の証拠なのです。
口臭が強くなった・朝起きた時に口がネバネバする
ご家族やパートナーから「口臭」を指摘されたり、朝起きた時の口の中の不快感を感じたりすることはありませんか？
これは、寝ている間に唾液の分泌が減り、歯周病の原因菌が爆発的に増殖しているために起こります。
- メチルメルカプタン
- 歯周病菌が産生するガスの一種で、腐った玉ねぎのような強い悪臭の原因物質です。単なる食べカスの臭いとは異なり、歯周病特有の臭いを放ちます。
- 口腔内のネバつき
- 歯周病菌が増殖する際に作るバイオフィルム（ヌルヌルした膜）が原因です。うがいだけでは取れないほど強力に歯に付着します。
歯が長くなったように見える・硬いものが噛みにくい
鏡を見た時に「昔より歯が長くなった気がする」と感じる場合、それは歯が伸びたのではなく、歯を支える骨（歯槽骨）が溶けて、歯茎が下がってしまった（歯肉退縮）ことによるものです。
これは歯周病が中等度以上に進行しているサインの可能性があります。
また、歯を支える土台が弱くなるため、おせんべいやスルメなどの硬いものが噛みにくくなったり、噛んだ時に違和感を覚えたりします。この段階まで来ると、自然治癒することはありません。
歯周病（歯槽膿漏）の原因と進行のメカニズム
なぜ、毎日歯磨きをしているのに歯周病になってしまうのでしょうか。
歯周病（かつては歯槽膿漏と呼ばれていました）は、単なる「口の中の汚れ」が原因ではなく、細菌による「感染症」であることを理解することが重要です。
歯と歯茎の間に溜まったプラーク（歯垢）と歯石の影響
歯周病の直接的な原因は「プラーク（歯垢）」です。プラークは食べカスではなく、細菌の塊です。わずか1mgのプラークの中に、約1億個もの細菌が存在すると言われています。
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| プラーク（歯垢） | 歯の表面に付着する白くネバネバした細菌の塊。歯磨きで除去可能です。 |
| 歯石 | プラークが唾液中のカルシウムなどと結びつき、石のように硬くなったもの。歯ブラシでは除去できません。 |
歯と歯茎の境目（歯周ポケット）にプラークが溜まると、毒素を出して歯茎に炎症を起こします。さらに、放置して「歯石」になってしまうと、その表面はザラザラしているため、さらに細菌が溜まりやすくなるという悪循環に陥ります。
サイレントキラーと呼ばれる自覚症状の少なさ
歯周病が恐ろしいのは、初期段階では痛みがほとんどないことです。そのため「サイレントキラー（静かなる殺し屋）」と呼ばれます。
- 歯肉炎
- 歯茎のみが腫れる。痛みは少ない。
- 軽度歯周炎
- 骨が少し溶け始める。冷たいものがしみる（知覚過敏）ことがある。
- 中等度〜重度歯周炎
- 歯がグラグラする、膿が出る、硬いものが噛めない。
「痛い」と感じて歯科医院に駆け込んだ時には、すでに抜歯が必要なほど進行してしまっているケースも少なくありません。痛みがないからこそ、定期的なチェックが必要なのです。
喫煙やストレスなどの生活習慣が与える悪影響
お口の中のケアだけでなく、日々の生活習慣も歯周病の進行に大きく関わっています。特に影響が大きいのが「喫煙」です。
- 喫煙（タバコ）
- タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、歯茎の血行が悪くなります。その結果、歯茎の腫れや出血といった「SOSサイン」が出にくくなり、気づかないうちに重症化させてしまいます。
- ストレス・生活習慣の乱れ
- ストレスや睡眠不足は体の免疫力を低下させます。免疫が下がると、歯周病菌の活動を抑え込めなくなり、炎症が悪化しやすくなります。
また、糖尿病と歯周病は相互に悪影響を及ぼし合うことも分かっており、歯周病治療が全身の健康管理にもつながります。
進行を食い止めるための歯科医院での治療とホームケア
歯周病は自然には治りませんが、適切な治療とケアを行えば、進行を食い止め、健康な状態を取り戻す（あるいは維持する）ことができます。
ここでは、歯科医院で行うプロフェッショナルケアと、ご自宅で行うセルフケアの両輪について解説します。
歯周ポケットの深さを測る検査とスケーリング（歯石取り）
歯科医院では、まず「歯周ポケット検査」を行い、病気の進行度を数値で確認します。
健康な歯茎のポケットの深さは1〜3mm程度ですが、4mm以上になると歯周病と診断され、専門的な処置が必要です。
その基本となる治療が「スケーリング（歯石除去）」です。
専用の器具（スケーラー）を使って、歯ブラシでは取れない硬い歯石を徹底的に除去します。歯石を取り除くことで、細菌の住処をなくし、歯茎の引き締めを図ります。
歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使ったケア
歯科医院でどれだけきれいにしても、毎日の汚れ（プラーク）が取れていなければ再発します。しかし、歯ブラシ一本だけで磨けるのは、歯全体の汚れの「約60%」に過ぎないと言われています。
残りの40%は、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目に残っています。
- デンタルフロス
- 歯と歯の間の接地面の汚れを落とすのに有効です。
- 歯間ブラシ
- 歯の根元の隙間が広い場合に適しています。
これらを併用することで、プラークの除去率を90%近くまで高めることが可能です。
四日市で定期的に歯周病検診を受けるメリット
お住まいの地域（四日市市）の制度を賢く利用することも大切です。
四日市市では、特定の年齢の方を対象に「歯周疾患検診」を実施しています。また、妊婦さん向けの歯科検診なども行われています。
ご自身が対象かどうかを確認し、費用負担が少なく受けられる検診制度をぜひ活用してください。かかりつけ医を持つことは、万が一のトラブルの際にも迅速な対応につながります。
歯茎の異変を感じたら四日市のさかもと歯科医院へご相談ください
歯周病は、早期発見・早期治療ができれば、決して怖い病気ではありません。
もし、「歯ブラシに血がついている」「最近口臭が気になる」といったサインに気づいたら、まずは一度、専門家に見せることが解決への第一歩です。
歯周病治療の経験豊富なスタッフによる徹底的なケア
さかもと歯科医院では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた丁寧な検査と治療を行っています。
痛みに配慮したスケーリング（歯石取り）や、進行してしまった歯周病に対する治療も、経験豊富なスタッフがしっかりと対応いたします。不安な点や疑問点は、どんな小さなことでも遠慮なくご相談ください。
一人ひとりに合わせたブラッシング指導で改善をサポート
「毎日磨いているのに虫歯や歯周病になる」という方は、磨き方の癖や、自分に合っていない道具を使っていることがよくあります。
当院では、患者様のお口の形状や歯並びに合わせた、最適な歯ブラシの選び方や動かし方（TBI：ブラッシング指導）をアドバイスしています。正しいセルフケア技術を身につけることは、一生涯の財産になります。
将来の歯を守るために今すぐ始める歯周病対策
歯は、失って初めてその大切さに気づくものです。美味しい食事を味わい、楽しく会話をして、健康寿命を延ばすために、歯の健康は欠かせません。
30代、40代の今のケアが、20年後、30年後のご自身の笑顔を作ります。
四日市市で歯茎の悩みや歯周病予防をお考えの方は、ぜひ「さかもと歯科医院」にお越しください。私たちが、皆様の大切な歯を守るパートナーとして全力でサポートいたします。