歯を失ってしまい「初めて入れ歯を作ることになった」という時、多くの方が直面するのが「保険診療と自費診療、どちらを選べばいいの?」という疑問です。毎日使うものだからこそ、費用だけでなく使い心地や見た目も大切にしたいものです。
結論からお伝えすると、「費用を抑えて基本的な機能を回復したい場合は保険診療」、「装着感の良さ、食事の味覚、見た目の自然さを追求したい場合は自費診療」が適しています。また、どちらを選んだ場合でも、長く快適に使い続けるためには、ご自身の歯とは異なる「入れ歯専用のケア」が欠かせません。
この記事では、四日市市のさかもと歯科医院が、初めて入れ歯を作る方に向けて、保険と自費の具体的な違いや、長持ちさせるためのお手入れ方法について、公的な情報源に基づき分かりやすく解説します。
初めて入れ歯を作る時に知っておきたい保険と自費の違い
入れ歯治療には、国の健康保険制度が使える「保険診療」と、全額自己負担となる「自費診療(自由診療)」の2種類があります。これらは単に費用の違いだけでなく、使用できる素材や設計、製作にかける工程などが大きく異なります。
それぞれの特徴を理解して、ご自身のライフスタイルや価値観に合ったものを選ぶことが大切です。
保険適用の入れ歯(プラスチック床)の特徴と費用の安さ
保険診療で作る入れ歯の最大の特徴は、経済的な負担が少ないことです。全国どこの歯科医院で作製しても、国が定めた一律の料金で治療を受けることができます。
保険の入れ歯の主な特徴は以下の通りです。
- 素材
- 「レジン」と呼ばれるプラスチック素材が主体です。
- 構造
- 部分入れ歯の場合、入れ歯を固定するために「クラスプ」と呼ばれる金属のバネを残っている歯にかけます。
- メリット
- 治療費が安く、修理や調整が比較的容易です。
- デメリット
- 強度を保つために一定の厚み(約1.5mm〜2.0mm程度)が必要となり、お口の中での違和感や、話しにくさを感じることがあります。また、プラスチックは熱伝導率が悪いため、食べ物の温かさや冷たさを感じにくくなることがあります。
参考情報:医療費控除について
入れ歯の治療費(保険・自費問わず)は、医療費控除の対象となる場合があります。確定申告を行うことで税金が還付される可能性がありますので、国税庁の情報を確認しましょう。
自費診療(金属床・ノンクラスプ)の薄さと装着感の良さ
自費診療の入れ歯は、保険の制限がないため、より機能的で快適な素材を使用することができます。代表的なものに「金属床(きんぞくしょう)義歯」や「ノンクラスプデンチャー」があります。
| 種類 | 特徴 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 金属床義歯 | 土台部分に金属(チタン、コバルトクロム、金など)を使用 | 薄く作れるため違和感が少ない。熱が伝わりやすく食事が美味しい。 |
| ノンクラスプデンチャー | 金属のバネを使わない特殊な樹脂を使用 | バネがないため見た目が自然。歯茎にフィットしやすい。 |
自費診療の入れ歯は、保険のものに比べて強度が高いため、土台を薄く作ることが可能です。これにより、お口の中が広く感じられ、発音がしやすくなるという利点があります。
見た目の自然さや食事の味わいやすさで選ぶポイント
入れ歯を選ぶ際は、「何を最優先するか」を整理することが重要です。
- 見た目を重視する場合
- 笑った時に金属のバネが見えるのが気になる方は、バネのない「ノンクラスプデンチャー」や、精密な「アタッチメント義歯」などの自費診療が選択肢になります。
- 食事の美味しさを重視する場合
- 食事の温度を感じたい方は、熱伝導率が良い「金属床義歯」が適しています。プラスチック床では遮断されてしまう温かいスープや冷たいビールの温度を感じることができます。
- 費用を重視する場合
- まずは保険診療で入れ歯を作成し、使い心地を試してみるという方法もあります。その後、不満点があれば自費診療を検討することも可能です。
入れ歯を快適に使い続けるための正しいお手入れ方法
入れ歯は人工物ですが、お手入れを怠ると汚れが溜まり、「義歯性口内炎」や、残っている歯の虫歯・歯周病の原因になります。また、誤嚥性肺炎(ごえんせいハイエン)のリスクを高める細菌の温床にもなりかねません。
快適に使い続けるための、基本のお手入れ方法を解説します。
毎食後の洗浄と専用の義歯洗浄剤を使った除菌
入れ歯のお手入れの基本は、毎食後に外して洗うことです。
- 流水下でのブラッシング : 入れ歯を外し、水を流しながら「義歯用ブラシ」で汚れを落とします。
- 歯磨き粉は使わない : 一般の歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多く、入れ歯のプラスチック部分に細かい傷をつけてしまいます。その傷に細菌が繁殖するため、歯磨き粉は使用しないでください。
- 洗浄剤の使用 : 目に見えない細菌(カンジダ菌など)を除菌するために、1日1回は「義歯洗浄剤」を使用しましょう。就寝前のつけ置きが効果的です。
就寝時は外して粘膜を休ませることの重要性
「寝るときは入れ歯をつけたほうがいいの?」という質問をよくいただきますが、基本的には就寝時は入れ歯を外してください。
一日中入れ歯をつけていると、歯茎や粘膜が圧迫され続け、血行が悪くなったり炎症を起こしたりする原因になります。寝ている間は入れ歯を外し、歯茎や骨を休ませてあげることが大切です。
※ただし、お口の状態によっては歯科医師から装着して寝るよう指示がある場合もあります。その際は指示に従ってください。
熱湯をかけたり乾燥させたりしないための保管方法
入れ歯を外している間の保管方法には注意点があります。
- 乾燥させない
- 入れ歯(特にプラスチック部分)は乾燥すると変形したり、ヒビが入ったりする性質があります。外している時は、必ず水を入れた容器に浸して保管してください。
- 熱湯をかけない
- 「消毒したい」という思いから熱湯をかける方がいらっしゃいますが、これは厳禁です。60度以上の熱湯でプラスチックが変形し、お口に合わなくなってしまいます。
合わない入れ歯を使い続けるリスクと調整の必要性
「せっかく作ったから」と、痛みを我慢して合わない入れ歯を使い続けていませんか?お口の中の状態(歯茎の形や骨の量)は、加齢とともに少しずつ変化します。そのため、作成時はぴったりでも、時間の経過とともにズレが生じることがあります。
歯茎の痛みや噛み合わせのズレを放置しない
合わない入れ歯を使い続けると、特定の場所に過度な力がかかり、粘膜に「褥瘡(じょくそう:床ずれのような傷)」ができることがあります。
痛みがあると無意識に噛み方を変えてしまい、噛み合わせ全体のバランスが崩れ、顎関節症や肩こりなどの原因になることもあります。痛みや外れやすさを感じたら、我慢せずに早めに調整を行う必要があります。
残っている自分の歯に負担をかけないための定期調整
部分入れ歯の場合、バネをかけている「残っている自分の歯」には大きな負担がかかっています。入れ歯の噛み合わせが合っていないと、テコの原理でバネのかかった歯を揺さぶり、その歯の寿命を縮めてしまう恐れがあります。
自分の歯を守るためにも、定期的に歯科医院で入れ歯の適合状態や噛み合わせをチェックし、微調整を行うことが重要です。
四日市で入れ歯の作成や調整相談ができる場所
四日市市では、市民の健康増進のために様々な歯科検診を実施しています。
- 歯周疾患検診 : 歯を失う原因となる歯周病の早期発見のために行われます。入れ歯になる前の予防としても重要です。
- 後期高齢者歯科健康診査 : 入れ歯の状態や噛む機能(口腔機能)のチェックを受けることができます。
これらの検診情報は、四日市市の公式サイトで確認できます。
- 参考情報
- 四日市市公式サイト|健康・医療
入れ歯のご相談や調整は四日市のさかもと歯科医院にお任せください
入れ歯は「作って終わり」ではなく、そこからが「生活のパートナー」としての始まりです。さかもと歯科医院では、患者様がストレスなく、美味しく食事を楽しめる生活を取り戻せるようサポートいたします。
患者様のご要望や予算に合わせた最適なプランの提案
当院では、保険診療・自費診療に関わらず、患者様のご希望やご予算、お口の状態に合わせた最適なプランをご提案します。
「まずは費用を抑えたい」「見た目を重視したい」「以前作った入れ歯が合わない」など、どのようなお悩みでも率直にお聞かせください。
トリートメントコーディネーターが疑問や不安を解消
歯科医師には直接聞きにくいことや、費用や期間についての不安などは、専任の「トリートメントコーディネーター」にご相談いただけます。
治療に入る前に、カウンセリングの時間をしっかり設け、患者様が納得して治療を選択できるよう丁寧にご説明いたします。専門用語ではなく、分かりやすい言葉でお伝えすることを心がけています。
しっかりと噛める喜びを取り戻すための全力サポート
「しっかり噛める」ことは、全身の健康や脳の活性化にもつながり、生活の質(QOL)を大きく左右します。
さかもと歯科医院は、四日市市の地域の皆様が、入れ歯であることを忘れるくらい快適に過ごし、食べる喜びを感じていただけるよう、製作からメンテナンスまで全力でサポートいたします。
初めての入れ歯に関するご相談や、今お使いの入れ歯の調整など、どうぞお気軽にご来院ください。

