さかもと歯科医院コラム記事

冷たいものが歯にしみる!知覚過敏の原因と自宅・歯科医院でできる対策

歯科治療

冷たい水を飲んだ時や、冬場の冷たい風が当たった時、「キーン」と歯に鋭い痛みが走ることはありませんか? 「もしかして虫歯?」と不安になる方も多いですが、その痛みは「知覚過敏(ちかくかびん)」である可能性が高いです。 知覚過敏は、間違った歯磨きや歯周病、酸性の飲食物などによってエナメル質が傷つき、歯の神経に近い「象牙質」が露出することで起こります。 実は、軽度であれば自宅でのケアで改善することもありますが、放置すると神経を取らなければならなくなるリスクも潜んでいます。 この記事では、四日市市のさかもと歯科医院が、知覚過敏の正しい原因と、今日からできる自宅での対策、そして歯科医院で行う専門的な治療法について詳しく解説します。まずは正しい知識を持って、美味しい食事を楽しめる歯を取り戻しましょう。

虫歯じゃないのに歯がしみる知覚過敏の主な原因

「虫歯のような穴は空いていないのに、なぜしみるの?」 多くの患者様がそう疑問に思われます。 私たちの歯は、表面が非常に硬い「エナメル質」で覆われており、その内側に「象牙質(ぞうげしつ)」、中心部に「神経(歯髄)」があります。通常、エナメル質が鎧のように神経を守っていますが、何らかの原因でこのエナメル質が薄くなったり、歯茎が下がって象牙質がむき出しになったりすると、冷たさや熱さといった刺激が神経に直接伝わってしまいます。これが知覚過敏のメカニズムです。 では、なぜ象牙質が露出してしまうのでしょうか。主な原因は以下の3つです。

間違った歯磨きや歯ぎしりでエナメル質が削れてしまう

毎日の習慣が、実は歯を傷つけていることがあります。良かれと思って行っている「強い力での歯磨き」は、その代表例です。

オーバーブラッシング(磨きすぎ)
硬い毛先の歯ブラシを使ったり、ゴシゴシと力任せに磨いたりすると、歯の表面のエナメル質が徐々に削り取られてしまいます。特に、歯と歯茎の境目はエナメル質が薄いため、ここが削れると「くさび状欠損」と呼ばれる溝ができ、知覚過敏の強い痛みを引き起こします。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
寝ている間の歯ぎしりや、日中の食いしばりは、体重の数倍もの力が歯にかかると言われています。この過度な力が加わり続けることで、歯の根元に応力が集中し、エナメル質が微細に欠け落ちてしまうことがあります(アブフラクションといいます)。
出典・参照
テーマパーク8020(日本歯科医師会)|「知覚過敏」

加齢や歯周病によって歯茎が下がり象牙質が露出する

歯そのものが削れていなくても、歯茎(歯肉)の位置が下がる「歯肉退縮」で知覚過敏になります。 歯の根っこの部分(歯根)は、もともとエナメル質ではなく「セメント質」という薄い層で覆われているだけなので、非常に無防備です。歯茎が下がって歯根が露出すると、すぐに象牙質へ刺激が伝わってしまいます。

歯周病による骨の吸収
歯周病が進行すると、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。骨が減ると、それに伴って歯茎も下がっていきます。日本人の成人の多くが罹患していると言われる歯周病は、知覚過敏の大きな原因の一つです。
加齢による変化
特別な病気がなくても、年齢とともに歯茎は少しずつ下がっていく傾向にあります。長く使ってきた歯だからこそ、根元の露出には注意が必要です。
出典・参照
e-ヘルスネット(厚生労働省)|「歯周病とは」

酸性の飲食物によって歯が溶ける酸蝕歯(さんしょくし)のリスク

近年注目されているのが「酸蝕歯(さんしょくし)」です。 虫歯菌が出す酸ではなく、私たちが口にする飲食物に含まれる「酸」によって、直接歯が溶けてしまう症状です。

酸性が強いものを頻繁に摂取していると、お口の中が長時間酸性の状態になり、エナメル質が軟化・溶解します(脱灰)。エナメル質が薄くなれば、当然、内部の象牙質への刺激は強くなります。

【注意したい酸性の強い飲食物】
  • 炭酸飲料(コーラ、サイダーなど)
  • 柑橘系の果物(レモン、グレープフルーツなど)やジュース
  • お酢(黒酢ドリンクなど)
  • スポーツドリンク
  • ワイン

これらは健康に良いものも含まれますが、「ダラダラ飲み」や「就寝前の摂取」はリスクを高めます

出典・参照
テーマパーク8020(日本歯科医師会)|「酸蝕歯」

自宅ですぐに始められる知覚過敏用のケアと対策

「しみるのが怖いから歯磨きをしたくない」となってしまうと、プラーク(歯垢)が溜まり、虫歯や歯周病が悪化してさらに痛むという悪循環に陥ります。 軽度の知覚過敏であれば、セルフケアを工夫するだけで症状が落ち着くことも珍しくありません。まずは以下の3つの対策を試してみましょう。

研磨剤無配合や硝酸カリウム配合の歯磨き粉(シュミテクト等)を使う

知覚過敏の方に最も手軽で効果的なのが、専用の歯磨き粉を使うことです。 ドラッグストアなどで市販されている知覚過敏用歯磨き粉(「シュミテクト」などが有名です)には、「硝酸カリウム」という成分が含まれています。

硝酸カリウム(カリウムイオン)
歯の神経の周りにイオンのバリアを作ることで、神経が興奮するのを防ぎ、痛みの伝達をブロックします。即効性は低いですが、毎日使い続けることで徐々に効果が現れます。
乳酸アルミニウム
露出した象牙質の無数の穴(象牙細管)を封鎖し、刺激の侵入を防ぐ成分が含まれている製品もあります。
【選び方のポイント】
「研磨剤(清掃剤)」が多く含まれている「ホワイトニング用」などの歯磨き粉は避けてください。研磨剤の粒子が露出した象牙質をさらに削ってしまう恐れがあります。「研磨剤無配合」または「低研磨」と書かれたジェルタイプなどがおすすめです。

歯ブラシの圧を弱めて優しく磨くブラッシング方法の見直し

歯磨きの最大の目的は「プラーク(細菌の塊)を落とすこと」ですが、プラークは強くこすらなくても、毛先が当たっていれば落ちます。

ペングリップで持つ
歯ブラシを鉛筆を持つように軽く握ります(ペングリップ)。こうすることで、余計な力が入りにくくなります。
やわらかめの歯ブラシを選ぶ
「ふつう」か「やわらかめ」を選びましょう。「かため」は歯茎や露出した象牙質を傷つけるリスクが高いため、知覚過敏の方には推奨されません。
小刻みに動かす
歯1本~2本分を目安に、細かく振動させるように磨きます。大きく横に動かすと、歯の根元が削れやすくなります。
出典・参照
テーマパーク8020(日本歯科医師会)|「歯の磨き方」

冷たい飲み物や酸味の強い食品を避けて刺激を減らす

痛みがある期間は、神経が過敏になっています。まずは刺激を与えないようにして、神経を安静にさせることが大切です。

温度への配慮
氷水などのキンキンに冷えた飲み物は避け、常温の水やぬるま湯を選びましょう。うがいをする際も、冷水ではなくぬるま湯を使うと痛みを軽減できます。
酸性食品の摂り方
お酢や炭酸飲料などを摂取した後は、すぐにお水やお茶で口をゆすぎ、口の中の酸性度を中和させましょう。また、酸っぱいものを食べた直後はエナメル質が柔らかくなっているため、30分ほど時間を空けてから歯磨きをするのが理想的です。

治らない場合は歯科医院へ!プロが行う専門的な治療法

自宅でのケアを2週間ほど続けても改善しない場合や、痛みが強くて食事が辛い場合は、歯科医院での治療が必要です。 歯科医院では、即効性のある薬剤や、物理的に歯を保護する処置を行うことができます。

露出した象牙質を保護するコーティング剤や薬の塗布

最も初期に行われる治療法です。 露出してしまった象牙質に、歯科用のコーティング剤(しみ止め薬)を塗布します。

象牙細管の封鎖
象牙質には、神経に通じる「象牙細管(ぞうげさいかん)」という無数の小さなトンネルがあります。薬を塗ることでこのトンネルの入り口をふさぎ、刺激が神経に届かないようにします。
特徴
歯を削る必要がなく、痛みもありません。一度の塗布で完全に痛みが消えることもあれば、数回通院して重ね塗りが必要な場合もあります。コーティングは日々の歯磨きで徐々に剥がれていくため、定期的な検診での再塗布が効果的です。

すり減った部分を詰め物(レジン)でカバーする処置

歯の根元がくさび状に深く削れてしまっている場合(くさび状欠損)は、コーティング剤だけでは不十分なことがあります。 その場合は、虫歯治療でも使われるプラスチックの詰め物「コンポジットレジン」を充填します。

物理的な遮断
削れて凹んだ部分をレジンで埋めることで、象牙質を物理的に完全にカバーします。
見た目の改善
歯の色に合わせたレジンを使うため、削れてしまった見た目もきれいに修復できます。
出典・参照
日本歯科保存学会|「う蝕治療(つめもの)」

歯ぎしりが原因の場合のマウスピース(ナイトガード)療法

知覚過敏の根本原因が「歯ぎしり」や「食いしばり」にある場合、歯への負担を減らさなければ、何度薬を塗っても再発してしまいます。

ナイトガードの作成
患者様の歯型に合わせて、就寝中に装着する透明なマウスピース(ナイトガード)を作成します。
効果
マウスピースがクッションとなり、歯と歯が直接ギリギリとこすれ合うのを防ぎます。これにより、エナメル質のさらなる摩耗や、歯への過度な応力を防ぎ、知覚過敏の進行を食い止めます。
出典・参照
日本口腔外科学会|「口腔外科相談室(顎関節症・歯ぎしり)」

しみる痛みが気になる方は四日市のさかもと歯科医院でチェックを

「ただの水がしみる」というのは、日常生活において非常に大きなストレスです。 「いつか治るだろう」と我慢していると、痛みを避けるために歯磨きがおろそかになり、そこから本当の虫歯や重度の歯周病へと悪化してしまうケースを、私たちはたくさん見てきました。

虫歯か知覚過敏かを正確に診断するためのレントゲン検査

「しみる」という症状は、知覚過敏だけでなく、虫歯や歯が割れている(破折)場合にも起こります。ご自身で判断するのは非常に危険です。例えば、虫歯が進行して神経まで達している場合の痛み(歯髄炎)であれば、知覚過敏のケアをしていても治りません。さかもと歯科医院では、視診だけでなく、必要に応じてレントゲン撮影を行い、痛みの原因が「歯の表面(知覚過敏)」なのか「歯の内部(虫歯など)」なのかを正確に診断します。

痛みを我慢せずに美味しく食事ができる状態を取り戻す

歯の健康は、単に「噛める」ことだけではありません。冷たいアイスクリームや、熱いお茶、酸味のあるフルーツなどを、痛みを気にせずに味わえること。それがQOL(生活の質)の向上につながると考えています。当院では、まずは患者様の「今ある痛み」を取り除くことを最優先に考え、しみ止めの薬の塗布や、レーザーを用いた痛みの緩和処置など、症状に合わせた対応を行います。

原因に合わせた最適な治療プランをトリートメントコーディネーターと相談

さかもと歯科医院には、歯科医師や歯科衛生士だけでなく、患者様のお話をお聞きする専任の「トリートメントコーディネーター」が在籍しています。「いきなり削られるのは怖い」「費用のことが心配」「通院回数を減らしたい」といったご不安やご要望をしっかりとお伺いします。

知覚過敏の原因が、ブラッシング圧なのか、食生活なのか、あるいは歯ぎしりなのか。原因は人それぞれです。ただ薬を塗って終わりではなく、原因を一緒に突き止め、再発を防ぐためのオーダーメイドの予防プランをご提案させていただきます。

四日市市で「歯がしみて辛い」とお悩みの方は、ぜひ一度、さかもと歯科医院へご相談ください。私たちと一緒に、ストレスのない快適な口元を取り戻しましょう。

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