ある日突然、食事中やフロスをしている時に「ガリッ」という感触があり、詰め物や被せ物が取れてしまった経験はありませんか？

「痛みがないから今度でいいか」と後回しにしたり、「自分でくっつけられないかな？」と考えたりするのは非常に危険です。

詰め物が取れた歯は、象牙質が剥き出しになっており、虫歯の進行リスクが極めて高い状態にあります。

この記事では、四日市市のさかもと歯科医院が、詰め物が取れた際の「絶対にやってはいけないこと」と「正しい応急処置」、そして歯科医院で行う治療の流れについて分かりやすく解説します。

結論から申し上げますと、痛みがあってもなくても、取れた詰め物は捨てずに持参し、できるだけ早く歯科医院を受診することが、ご自身の歯を守る最善の方法です。

詰め物が取れた時にやってはいけないことと正しい対処

詰め物や被せ物が取れてしまった直後の対応次第で、その歯を長く残せるか、あるいは大掛かりな治療が必要になってしまうかが決まります。まずは、ご自身で判断せずに正しい対処を知っておきましょう。

市販の接着剤で自分でつけ直すのは絶対NGな理由

「歯医者に行く時間がないから」といって、アロンアルファなどの市販の瞬間接着剤を使って自分で詰め物を戻そうとする方がいらっしゃいますが、これは 絶対にやってはいけない行為 です。

理由は以下の通りです。

噛み合わせのズレ

歯科用のセメントは数ミクロン単位の厚みで調整されています。市販の接着剤は厚みが出てしまうため、噛み合わせが高くなり、顎の痛みや歯の破折を引き起こす原因になります。

内部での虫歯の進行

接着剤で蓋をしてしまうと、汚れや細菌を内部に閉じ込めることになります。痛みがないまま内部で虫歯が進行し、気づいた時には神経を取らなくてはならない状態になることもあります。

歯を削る量が増える

歯科医院で治療する際、市販の強力な接着剤は簡単には剥がれません。無理に剥がそうとすると健康な歯まで大きく削り取ることになり、歯の寿命を縮めてしまいます。

取れた詰め物は捨てずに持参すると再利用できる場合がある

取れてしまった金属やセラミックの詰め物は、ゴミ箱に捨てずに保管してください。

もし、詰め物自体に変形がなく、歯の方にも新たな虫歯ができていなければ、そのまま消毒してセメントで付け直す（再装着）ことが可能です。

これは最も治療期間が短く、歯への負担も少ない治療法です。ティッシュに包むと誤って捨ててしまうことがあるため、小さなチャック付きの袋やケースに入れて、歯科医院へご持参ください。

しみる痛みがなくても放置せずに早めに予約を取る

詰め物が取れても、「痛くない」というケースは珍しくありません。これは、神経の治療済みの歯であったり、象牙質の深い部分まで達していなかったりする場合です。

しかし、痛くないからといって放置するのは禁物です。詰め物が取れたということは、歯の内部が無防備な状態になっていることを意味します。

以下の専門機関の情報も参考に、できるだけ早く受診の予約を取りましょう。

詰め物や被せ物が取れたまま放置すると、虫歯の再発や歯の破折など、さらなるトラブルの原因となります。

出典

日本歯科保存学会｜一般の皆様へ – 歯科保存治療とは

放置するとどうなる？詰め物が取れた歯のリスク

「忙しいから来週でいいか」と放置している間に、お口の中では確実に悪化が進んでいきます。ここでは、放置することによって生じる具体的な3つのリスクについて解説します。

象牙質が露出して虫歯が一気に進行しやすくなる

歯の表面にあるエナメル質は非常に硬いですが、その下にある「象牙質」は柔らかく、酸に弱い性質を持っています。

詰め物が取れると、この象牙質が剥き出しの状態になります。

通常よりも虫歯菌の侵食スピードが速く、あっという間に神経まで達してしまうことがあります。これを「二次カリエス（二次う蝕）」と呼びます。痛みを感じた時には、すでに手遅れに近い状態であることも少なくありません。

参照情報

e-ヘルスネット（厚生労働省）｜う蝕（むし歯）の進行

隣の歯が倒れてきたり噛み合わせが変わったりする影響

歯は、隣り合う歯や噛み合う歯と支え合って位置を保っています。

詰め物が取れて隙間ができると、数週間から数ヶ月という短い期間でも、以下のような移動が起こることがあります。

挺出（ていしゅつ）

噛み合う相手の歯が、隙間に向かって伸びてくること。

傾斜

隣の歯が、空いたスペースに倒れ込んでくること。

こうなると、いざ治療しようとしても元の詰め物が入らなくなるだけでなく、歯並び全体のバランスが崩れ、噛み合わせの調整や矯正治療が必要になる可能性も出てきます。

歯が欠けたり割れたりして抜歯になる可能性

詰め物をしていた歯は、虫歯治療のために一度削っているため、健康な歯に比べて強度が落ちています。特に、神経を抜いている歯は枯れ木のように脆くなっています。

詰め物という補強がない状態で硬いものを噛んでしまうと、歯にかかる力に耐えきれず、歯の根元から割れてしまうことがあります（歯根破折）。

歯の根が割れてしまうと、残念ながら多くの場合は「抜歯」となります。

たかが詰め物と油断せず、最悪の事態を防ぐために早めの対処が必要です。

歯科医院で行う治療の流れと作り直しになるケース

歯科医院を受診された際、どのような流れで治療が進むのかをご説明します。さかもと歯科医院では、まずは検査を行い、患者様にとって最適な方法をご提案しています。

虫歯になっていなければそのまま接着できることも

前述の通り、以下の条件が揃えば、そのまま付け直すことができます。

• 取れた詰め物を持参していること。
• 詰め物が変形・破損していないこと。
• 歯の側に新たな虫歯や欠けがないこと。

この場合、治療は1回〜2回程度で終了します。古いセメントを除去し、歯と詰め物を清掃・消毒した上で、強力な歯科用セメントで再装着します。

内部で虫歯が進行している場合は再治療が必要

診察の結果、詰め物の下で虫歯が進行していたり、詰め物が合わなくなっていたりする場合は、再治療が必要です。

軽度の虫歯の場合

虫歯部分を削り取り、形を整えてから、新しい詰め物（インレー）の型取りを行います。

重度の虫歯（神経まで達している）の場合

神経の治療（根管治療）が必要になります。治療回数は増えますが、歯を残すための重要な処置です。

根管治療の詳細については、以下の専門学会のページもご覧ください。

参照情報

日本歯科保存学会｜一般の皆様へ（歯内療法について）

保険適用で作り直す場合の費用感と素材の選び方

詰め物を作り直す場合、保険診療と自由診療（自費診療）から素材を選ぶことができます。

※費用は部位や虫歯の大きさ、初診料・検査料の有無によって変動します。詳しくは受診時にご確認ください。

詰め物が取れたトラブルは四日市のさかもと歯科医院へお急ぎください

詰め物が取れるトラブルは、予期せぬタイミングで起こるものです。

四日市市のさかもと歯科医院では、地域の皆様の歯のトラブルに対して、迅速かつ丁寧な対応を心がけています。

急なトラブルにも対応できる体制とスムーズな案内

当院では、詰め物が取れた、歯が欠けたといった急なトラブルの患者様も受け入れております。

「前歯が取れて見た目が気になる」「しみて食事ができない」といった場合は、予約時にお電話にて症状をお伝えください。可能な限り早めの応急処置ができるよう調整いたします。

また、四日市市の歯周疾患検診などの制度とも連携し、地域のかかりつけ医としてお口の健康をサポートしています。

参照情報

四日市市公式サイト｜健康・医療（成人歯科健康診査など）

再発を防ぐために適合精度の高い治療を提供

詰め物が取れる原因の多くは、経年劣化によるセメントの溶解や、詰め物の精度の問題、そして二次的な虫歯です。

さかもと歯科医院では、単に穴を埋めるだけでなく、「なぜ取れたのか」を診断します。

その上で、隙間なくぴったりとフィットする適合精度の高い詰め物を作製し、虫歯の再発リスクを最小限に抑える治療を行っています。噛み合わせのバランスも細かく調整し、長持ちする治療を提供します。

治療後の定期検診で詰め物の状態をチェックする習慣

治療が終わった後も、定期検診にお越しいただくことを強く推奨しています。

詰め物や被せ物は人工物であるため、毎日の食事や歯ぎしりによって少しずつ摩耗したり、境目に汚れが溜まったりします。

定期検診では、詰め物の適合状態や、周りの歯茎の健康状態をプロの目でチェックします。問題が小さいうちに対処することで、詰め物が突然取れるトラブルを未然に防ぐことができます。